四月十三日 反省する観察者
難しい顔して考へこむのは
もうお仕舞ひにしよう
いつのまにか物語をつむがうとしてゐた
頭にはぜひとも
初心をおもひ出して頂かう
何かよきものを
建設的なものを
すぐれたものを
あたらしいものを
価値のあるものを
生み出さうとする一切のくはだてをやめて
熱くなった血を冷めるにまかさう
わたしは観察者であり
筆記者に過ぎない
その仕事は私見を交へずに記述することであり
あらゆる創作活動の正反対でなければならない
気のつかない内に根をのばす
目的進路反省思考といった諸観念を断ち
目に入るものを見つめるだけにしよう
自分が何かをするのを抑へて
わたしがすべき何かがあるとしたら
何も描かれてゐない白紙を用意すること
その余白をできるだけ広く保つことくらゐ
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