三月二十日 休日


今日は休日だといふのに
夜勤明けだから
あまり休みといふ感じがしない
考へてみれば当然だらう
休みといっても二十四時間程度の猶予を
与へられたにすぎない
わたしの未来は売約済みなのは変はらない
だから心はまったく浮かれないし
むしろ沈んだままで
何物からも解放されたわけではないことを知ってゐるから
何らの喜びも見つからない
休みといふのはごまかしであり
詐術の一種として機能するのだとおもふ
他にどうすることができるといふのか
自分を自分でなだめすかして
今日は休みだ仕事からの解放日なのだと
信じこませる以外
どうやってこの現実から一瞬でも目を背けられるといふのか
逃れられないなら逃れられたとおもひこむ他ない
ほとんどありとあらゆる物や事に見放された
みじめな人間がせめて大通りを歩けるくらゐになるには
きっと精神上の大転換がどこかで敢行されたにちがひない
百円のコーヒーを買ふのにこれほど悩むなんて
子供の頃は夢にもおもはなかった
それでもつひに硬貨を一枚軽い財布から出したのは
今日は久しぶりの休日なのだと納得したから
この生活をはじめて一月経たうとしてゐるが
今だに袖を濡らさぬ時はない
姿勢は悪くなりひがごとが増え
やがては顔つきもかはってしまふのだらう
自分のあまりの無力さをつきつけられて
通り雨にふられただけで
こぼれる涙をおさへることができない

コメント

このブログの人気の投稿

二月二十四日 ねえ・・・

五月二十四日 ぐらたん

六月二十日 のぞみ