四月四日 ぬこ


夜があけたので外に出て
歩いてゐるとねこがきて
進路をふさぐ
立ちはだかる愛玩動物を前に
気圧されて後退し
つひには背を向けて
元きた道を引き返す
圧倒的なぬこだった
負けたくやしさはなく
気分はむしろすがすがしい
その後立ちはだかる何者もなく
家の前まできたけれど
通り過ぎてしまふ
足をとめずに振り返らずに
前を見つめる目に映る
街路樹の葉とさびた看板
さてこの道をどこまでいかう
この先どんなに歩いても
どこにも通じてゐないし
どこかにたどりつくこともないだらう
それでも歩いて行くのだらう
おなかがすくかあるいは
圧倒的なぬこに会ふまでは

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