四月十二日 休日


休日―――

歩いて一時間
最寄り駅に着き
普通電車で四十分
地域で一番大きな古本屋
ブックオフを目指す
駅から歩いて三十分
川沿ひの櫻をたどると
幹線道路に出たすぐの所に
店はあった
慾しい本はあまりなかった
迷ったものも決められなかった
お金も本を置くスペースもなかったし
何も買はずに来た道を引き返す
橋のたもとで
スマホをかかげて
写真をとる
普段着のおばさんがゐた
枝垂れ櫻が川面にかかる
電車は少しだけ遅れてゐた
一時間に一本しかないから
どちらにせよ待たねばならない
車窓から遠山をながめる
雪におほはれた白い山
あの川の水も
あそこから流れて来たのだらう
扉がひらいたので
邪魔にならぬやう
あいてゐた席に座る
目をやる所もなくて
閉ぢるとすぐに
眠りに落ちた
駅に着く
扉がひらく
人のうしろについて
改札口への通路をたどる
千円で髪を切る店に入り
バスの時刻表を見て
ゆっくりとまた長い道を
重くなった足で
さかのぼる
スーパーに寄り
夕食を買ふ
風呂に入り
お湯をわかして飲む
時間がくれば
床に入る

―――休日

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