三月三十日 かみのごときひと


神のごとき御人といふのは賞讃ではなく
その正反対の言葉であって
神とも見まがふあなたも所詮人であることを
我々は忘れてはゐませんよといふ警句である
そんな我々人間は
現実と幻想のはざまで
調整作業に汲々として
少しづつすり減って行く
どうして生きてゐるのか知らないのに
なぜだかいつも生きてゐる
はりつけた笑顔の仮面の裏側に
後ろめたさを抱へて
問ひつづけるのは稀で
魅力的に見える解決策を示されると
いかに激しく飛びつくかを見れば
底の方に根づく
苦悩の深さが察せられる
絶望にさいなまれて
魂は逃げ道を求めるが
どこを探しても見つからず
壁をこはすこともできず
たたききずつき泥にまみれて
どこかで折り合ひをつけることをまなび
ある程度平安に生を送る
きずついたままの魂から
赤い血がにじむのを
あかずの物置きにしまひこんで
目に映らないやうにして
なんらかの手法で肉体を酩酊状態にして
念のため目隠しをつければ安心だ

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