三月三十一日 舞踊劇


探せば見つかるものだらうか
不安の種はどこに埋まってゐるのだらう
青々としげる不安の野で
足元の草を払ふのに一杯だから
それらがどこから生えて来たのか
おもふいとまもないのだけれど
切っても切ってもまた生えて
つかのまの夢に誘はれて
気づけばいつもまどろみの中
同じことをくり返してゐることは
うすうす気づいてゐるのだけれど
原因がわからないままなので
終はりの見えない舞踊劇に
またはじめから参加するしかない
けれどどことなしに感づいてゐるのかもしれない
不安の元をたづねて
あはよくばたどりついてしまへば
その先にわれらを待つのは
今よりもっと化け物じみた
不安のかたまりなのではないか
それにわたしは耐へられるだらうか
身分相応の不安を与へられて
ぐるぐる踊り続けるのは
滑稽だけれども
この輪から脱け出してしまへば
待つのはずっと
どうにもならないことで
たぶん心はすぐに
押しつぶされてしまふだらう
しばらくはまだ
この全員参加の強制的なもよほしが
つづきさうで
誰も彼も力なく皮肉な笑みを浮かべながら
足を出しまはるのだらう

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