四月十一日 生存 リンクを取得 Facebook Twitter Pinterest メール 他のアプリ 4月 23, 2019 公園で男の子が犬を追ひかけまはしてゐる 犬も男の子もたのしさうだ 走り疲れて子供はベンチに腰をかけ 小さな犬が膝にのる ふたつの目はたなびく雲を追ひ そらの下茫洋と時にたゆたふ 我々は気づかないから生きて行けるのであって それはある種の無知ではあるが 不幸ではなくむしろあるべき仕方であって ほほゑまれるべき様子なのである かばんを手に電車にかけこむ男は すんでで間に合ったことに胸をなでおろす かつて犬と見た景色を箱にしまひ いま彼は吊り革広告をながめる リンクを取得 Facebook Twitter Pinterest メール 他のアプリ コメント
二月二十四日 ねえ・・・ 3月 08, 2019 ねえパパ この窮状をわたしは 誰に訴へたらよいのかしら パパに言っても仕方ないことくらゐわかってゐてよ だって同じ人間ですもの お互ひの惨状を目にして 相憐れむのがせいいっぱいですもの あるいは背くらべをはじめて 俺はあいつより金を持ってるとか 地位が高いとか 力があるとか 美しいとか 健康だとか 頭が良いとか 人より優れてゐるからまだましだなどと 自分に思ひこませて 自分の尊厳を 自分の幸福を かたくなに守らうとする そんなあはれな人間の 仲間内ですもの ねえ わたしは どうすればいいのかしら 誰にたづねたら教へてくれるのかしら ええ今すぐに救ってくれとは もう言はないわ ただ暗に示してくれるだけでも満足なの 終はりの見えないこの道の終点に いつかたどりつくことができるのかと 続きを読む
五月二十四日 ぐらたん 6月 06, 2019 ねむい かうしてペンを握ってゐても目をあけてゐられないほどには ねむい ねむたいけれどわたしは起きてゐる こんな単純でどうしやうもない絶望が 他にあるだらうか これこそまぎれもない不満足であり 純粋な不幸ではないか 体の芯から睡眠を慾してゐる 全身に残る疲労感 ねむればどんなに気持ちよいことだらう まっしゅるうむ まかろに ちがふものだったっけ まっしゅるうむとまかろに 菌と麦だった ぐらたんたべよう ぐらたんにしてたべよう きのこと麦のぐらたんをたべよう ん?あれ? なんかにがいぞ さうかこれが不幸の味か なんちゃって ちゃんとおいしいよ しあはせのぐらたんだよ 続きを読む
六月二十日 のぞみ 7月 03, 2019 単純な機械でできるやうな仕事がしたい 工場で流れて来た製品に部品を付けるやうな 頭を一切使はない作業がしたい 何も考へたくない 喋りたくない 人間と社会に関はりたくない わたしに一番ふさはしいのは 奴隷だとおもふ 主人の命令をきくだけの 意志を持たない人形に わたしはなりたい さういふものになるしか 今のわたしに道はない 疲れて疲れて 疲れはてたわたしの それが末路でありのぞみだ 続きを読む
コメント
コメントを投稿