二月十八日 鐘聲
かねのねが聞こえる
暮れなづむ空に
晩鐘がひろがり
虚空に消える
わたしはどこにゐる
わたしはどこにゐた
あのとき目の前を横切った
ねこは今どこにゐるのだらう
かねのねがきこえる
しづかに死を待つ人の
疲れてひびわれた耳に
暮鐘がひびきわたる
わたしは何かなのか
わたしはまだ何かなのか
どこまで行けば
この道は終はるのか
かねのねがきこえる
こんなにはっきりしてるのに
ああわが人草(ひとくさ)よ
お前はまだ顔を上げるのか
わたしはまだ
わたしはもう
かねのねがきこえて
こんなにはっきりしてるのに
耳をふさぐだけの
力がない
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