七月六日 まつり


まつりのひ

くらやみのなか

ゆらめく提灯が

地べたに座る民と

前を向いて歩く男と

神輿をかついで叫ぶ衆を

うかびあげる

太鼓がうたれ

花火がひらく

通りの両側に屋台が並び

若い子らが笑ふ

男は申し訳程度の微笑をうかべ

人の間をぬって行く

大通りを過ぎて

角を曲がると

喧噪もあかりも

すぐに遠くなり

いつものうす暗い

裏通りのまん中を

ひとり歩いてゆく

つくり笑ひの消えた顔に

少しのかなしみと少しのくるしみと

たくさんのとまどひと

あきらめをうかべて

大きな歓声に振り返る目に

白い電灯と民家の壁が映る

向かうの広場に

神輿が着いたのだらうか

街灯の下で

男は鍵を取り出し

寓居に向かひ

歩き出す

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