七月二日 なったりする


率直に言って今わたしを動かしてゐるのは恐怖だ

金もそれを得る手段も持たない身の将来は

不安の一色で塗りつぶされてゐて

生活のためにとりあへず選んだ職場では

解雇につながる失敗への恐れが同僚たちの動機だ

わたしはずっと夢を見てゐたい

家から出ずに心地の良い寝台で寝てゐたい

目を閉ぢてゐたい

見るに耐へない現実など見たくない

外にも出ず誰とも会はず

ぼんやりとしたまどろみの中で

一生を終へたい

なのに今自分の状況を感じ取れば

ただただ戦慄しか生じない

ここは地上でわたしは有象無象の一人で

楽園への帰り道ももうわからない

思ひ出したとしても飛ぶための翼もない身では

余計につらいだけだらう

いや希望があるだけましなのだらうか

希望か

死ねばとりあへず終はるかもしれないといふ

根拠のはっきりしない与太話を信じて

死ねば救はれる

かもしれない

さうおもふことでしか

ひとかけらの安心も得られない

この世界は残酷だ

ときにやさしかったり

ときにやさしくなかったり

わたしは波のはざまで揺られ

よろこんだり

くるしんだり

たまにつかれて

もういいやって

なったりする

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