六月三十日 たんなる静寂


ねえ

なあに?

どうして?

なにが?

いやなんなのだらうこの拷問は
とおもっただけ

大丈夫?

生きてゐる者で
大丈夫な奴なんて
ゐやしないよ

元気ないわね

酔ったままでゐられたら
どんなにか楽だらうね
けれどどんな酩酊も
いつかは覚めるときが来て
真顔になった人は
生といふ名の牢獄の中で
何もできずにひたすら
死がやって来るのを
待つだけの身であることに気づく
憂鬱とか絶望とか
そんなに激しいものではなくて
ここにあるのは
たんなる静寂
さう
たんなる静寂だけなんだ
たへられるわけないよね
たんなる人の身で
だけど逃げ出すことも
もうかなはないから
それがわかってゐるから
身動きすらとれないで
この小さな牢屋の中は
とてもしづかなんだよ
さうだね
ひとりごとだね
ひとりごとが響いてゐるね
別に抵抗してるんじゃないよ
どうしようもないから
どうしようもないねって
口に出しただけだよ

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